労働安全衛生法では、労働者の健康被害や労働災害を防止するために、一定以上の規模の職場には衛生管理者を配置するように定められています。
衛生管理者は誰でもなれるわけではなく、衛生管理免許が必要です。
そのうちの1つが衛生工学衛生管理者免許です。
衛生管理者資格の概要記事は下記になります。
衛生管理者とは?衛生管理者試験概要・合格率・取得メリットについて徹底解説
2023/9/24
上記の内容について解説していきます。 衛生管理者とは? 衛生管理者とは、労働安全衛生法という法律により定められた国家資格です。 衛生管理の専門家に与えられる資格で、事業場の「衛生管理業務従事者」として ...
衛生工学衛生管理者免許の取得者は、特に有害業務を行う工場において高い需要があります。
本記事では、衛生工学衛生管理者とはどのような国家資格で他の衛生管理免許とはどのような点で異なるのか、どうやって取得するのかを説明していきます。
本記事でわかること
- 衛生工学衛生管理者とは?
- 衛生管理免許の種類!違いはあるのか?
- 衛生工学衛生管理者の仕事内容とは?
- 衛生工学衛生管理者資格取得メリットは?
- 衛生工学衛生管理者資格概要
上記内容を解説していきます。
衛生工学衛生管理者とは?
衛生工学衛生管理者とは、有害ガスなどを発散する作業場において、労働者が安全に働けるように職場の衛生管理を行う立場の人を指します。
そもそも、労働安全衛生法第12条では、作業環境の改善や社員の健康被害を守るために一定規模以上の事業場においては、衛生管理者を配置する必要があると定められているのです。
また、500人以上の労働者がいる事業場において、※1有害業務に常時30人以上の作業員を従事させる場合は衛生工学衛生管理者の配置が必要であると決められています。
なお、事業場とは同じ場所で関連する作業を行う場所を指す単位です。
これは企業ごとではなく、支店や店舗、工場ごとに1事業場となります。
衛生管理者は、週に1回以上のペースで事業場の巡視を行う必要があります。
労働者の健康を害する恐れのある設備や作業方法を発見した場合は、速やかに必要な対策を講じなければなりません。
また、健康障害のある労働者を見つけたときには適切に対応したり、労働災害の原因調査や再発防止対策を行ったりすることも必要です。
これらの業務を行うためには一定の知識が必要ですので、衛生管理者は衛生管理者免許を持つ人の中から選ばれます。
※1有害業務とは?
労働基準法によって定められている業務のことを指しています。
具体的な業務としては、ラジウム放射線やエックス線などの有害放射線を浴びる可能性がある業務や、鉛や水銀などの有害物の粉塵が出る恐れのある業務など、いくつかの条件が挙げられています。
衛生管理免許は国家資格で、
「衛生工学衛生管理者」
「第1種衛生管理者」
「第2種衛生管理者」
の3種類があります。
その中で、最も幅広い業務を行えるのが衛生工学衛生管理者です。
衛生管理免許の種類!違いはあるのか?
衛生管理免許には、衛生工学衛生管理者・第1種衛生管理者・第2種衛生管理者の3つの種類があり、それぞれ携われる業務に違いがあります。
第2種衛生管理者では、建設業やガス業などの業種ではなることができず、業種に限りがあります。
衛生管理者は有害業務を行う作業場において管理者としての仕事に携わるのが基本ですが、第2種衛生管理者は基本的に有害業務に携わるような危険度が高い職場では業務をおこなうことができません。
一方で、第1種衛生管理者と衛生工学衛生管理者は、全ての業種で業務を行うことが可能です。
衛生工学衛生管理者・第1種衛生管理者と第2種衛生管理者の違いは、有害作業などの危険が高い作業場での仕事ができるかどうかという差があるだけで、その他の業務では特に差はありません。
建設業や製造業などの現場で仕事をしたいという人は、衛生工学衛生管理者もしくは第1種衛生管理者を、そのような職場では働かなくても良いという人は第2種衛生管理者の資格で大丈夫です。
衛生工学衛生管理者の仕事内容とは?
衛生工学衛生管理者は、有害業務が発生するような作業場での管理業務を行います。
具体的な仕事内容としては、衛生工学の知識を活用して、作業場で発散する有害因子を抑制するための対策を講じることが挙げられます。
また、労働者の健康状態を把握し、作業環境の改善やアドバイスを行うことも仕事の1つです。
一般的には、週に1回以上のペースで作業現場を巡視し、労働者の健康を害するような作業内容や設備がないかをチェックします。
万が一、そのようなものを発見した場合は何らかの対策を考えていきます。
なお、健康に問題のある労働者がいた場合は、健康を害した原因を調べたり、今後同じような被害が起こらないように対策を考えたりもします。
そのため、衛生工学衛生管理者には作業場で働く人たちの健康管理を担う重要な役割があります。
衛生工学衛生管理者資格取得メリットは?
具体的メリットを3点あげてみます。
資格手当が付く
資格手当をもらうことができる点も衛生工学衛生管理者の資格を持つメリットといえます。
企業によっても異なりますが、衛生工学衛生管理者の資格を取得することで、資格手当が付与される可能性もあるのです。
そのため、資格取得してキャリアアップし、給与を上げたい人にもおすすめの資格といえます。
幅広い業務に携われる
衛生工学衛生管理者の資格を持っていると、幅広い業務に携われるのもメリットです。
第2種衛生管理者は、有害業務に携わる業種では働くことができませんが、衛生工学衛生管理者もしくは第1種衛生管理者であれば幅広い業種に携わることが可能です。
そのため、転職活動において求人を選ぶときに選択肢が多くなります。
転職市場で評価されやすい
衛生工学衛生管理者の資格は、転職市場での評価を受けやすいという点があります。
一定規模以上の事業場においては、衛生工学衛生管理者の設置は必要になるため、規模が大きい企業において重要な役割を担うことができます。
また、企業のコンプライアンスも重要視されてきているので、資格取得していると採用してもらいやすくなるといわれています。
衛生工学衛生管理者資格概要
ホームページ・受講申込・問合せ
中央労働災害防止協会 東京安全衛生教育センター
0424-91-6920
中央労働災害防止協会 大阪安全衛生教育センター
0721-65-1821
願書申込み受付期間
実施先までお問い合わせ下さい。
受講日程
実施先までお問い合わせ下さい。
受講地
東京、大阪
受講資格
実務経験等により細かく規定されています。詳しくはHPをご覧ください。
受講内容
以下の科目について5日間(科目免除者は4日又は、2日)に分けて、受講が行われます。
- ① 労働基準法
- ② 労働安全衛生法
- ③ 労働衛生工学に関する知識
- ④ 職業性疾病の管理に関する知識
- ⑤ 労働生理知識
- ⑥ 修了試験(筆記試験)
免除(科目等)について
全講習免除
- ① 労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)合格者で作業環境測定士となる資格を有する者。
- ② 労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)合格者で労働衛生コンサルタント試験(労働衛生工学)合格者。
- ③ 労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)、作業環境測定士有資格者、
労働衛生コンサルタント試験の有資格者で、第一種衛生管理者免許試験の免許所有者。
一部科目免除者を対象とした4日コース該当者
- ① 第一種衛生管理者免許試験に合格した者(保健師・薬剤師の資格による免許取得者は対象外)は
労働衛生工学に関する知識、職業性疾病の管理に関する知識が免除 - ② 学校教育法による大学において保健衛生に関する学科を専攻して卒業者であって、
労働衛生に関する講座又は科目を修めた者(大学が指定されています)は
労働衛生工学に関する知識、職業性疾病の管理に関する知識が免除 - ③ 労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)に合格した者は労働基準法、
労働衛生工学に関する知識が免除 - ④ 第一種衛生管理者免許試験と労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)の
双方に合格した者は労働衛生工学に関する知識が免除
一部科目免除者を対象とした2日コース該当者
- ① 作業環境測定士となる資格を有する者(試験に合格し、かつ、指定の講習を修了した者) は
労働基準法、職業性疾病の管理に関する知識、労働生理に関する知識が免除 - ② 労働衛生コンサルタント試験(労働衛生工学)に合格した者は労働基準法、
職業性疾病の管理に関する知識、労働生理に関する知識が免除 - ③ 第一種衛生管理者、作業環境測定士、労働衛生コンサルタント試験(労働衛生工学)のうち、
2つもしくは全て合格した者は、職業性疾病の管理に関する知識が免除 - ④ 労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)、労働衛生コンサルタント試験(労働衛生工学)、
作業環境測定士のうち、2つもしくは全て合格した者は、労働基準法が免除
※注意:講習科目の一部免除要件が複数に該当する場合は、合せて受講科目が免除になります。
受講料(税込み)
5日間コース
118,800円(テキスト代込み)
4日間コース(第一種衛生管理者免許試験合格者)
89,100円(テキスト代込み)
4日間コース(労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)合格者)
71,500円(テキスト代込み)
4日間コース
以下の①、②の両方の資格の保有者
- ① 第一種衛生管理者免許試験に合格した者または、学校教育法による大学において
保健衛生に関する学科を専攻して卒業した者であって、労働衛生に関する講座又は科目を修めた者 - ② 労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)に合格した者
66,000円(テキスト代込み)
2日間コース(作業環境測定士有資格者もしくは、労働衛生コンサルタント試験(労働衛生工学)合格者)
48,400円(テキスト代込み)
2日間コース
以下の①、②または、③の二つ以上の資格の保有者
- ① 第一種衛生管理者免許試験に合格した者または、学校教育法による大学において
保健衛生に関する学科を専攻して卒業した者であって、労働衛生に関する講座又は科目を修めた者 - ② 作業環境測定士となる資格を有する者
- ③ 労働衛生コンサルタント試験(労働衛生工学)合格者
29,700円(テキスト代込み)
2日間コース
以下の①、②または、③の二つ以上の資格の保有者
- ① 労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)合格者
- ② 作業環境測定士となる資格を有する者
- ③ 労働衛生コンサルタント試験(労働衛生工学)合格者
12,100円(テキスト代込み)
まとめ
衛生管理者の中でも、衛生工学衛生管理者は最も幅広い業務に対応できる資格です。
有害業務を行う一定規模以上の事業場では衛生工学衛生管理者の配置が義務づけられているため、大きな需要のある資格と言えます。
転職にも有利ともいえる衛生工学衛生管理者資格を取得して、大規模な工場で活躍してみてはいかがでしょうか。
関連記事:アガルート ひどいってマジ?悪い 怪しい っていう黒い噂の真実!